2020年1月15日水曜日

お産のこと

5時半頃から本格的になってきた陣痛。
しばらく湯船につかれなくなるからと風呂で身体を温めて、安澄の作ったお好み焼きを食べる。
助産院に電話し向かうことになったものの、車の中ですっかり陣痛は遠のき、着いた頃には痛みはどこへやら…
せっかく来たからと子宮口を見てもらうとまさかの7センチ。
痛くないわけないんだけどねと笑われながらそのまま待機することになった。

助産院には助産師さんが9人ほどいるのだけれど、日文も文昌もそして今回も同じ助産師さん達という奇跡。
3回目のタッグともなると、安心感も半端なくて、笑いながらお産が始まるのを待つ。
階段を上り、オロナミンCを飲み、四つん這いになったり、スクワットをしたり。

8時頃からまたしっかり陣痛がついて、7分間隔になる。
痛みの波はあるものの、あれ?こんなもんだっけ?って位の痛さで助産師さんに腰をさすられ大丈夫だよ〜と言われるたびに氷川きよしが頭をちらつく(紅白を見た方ならわかるはず)。

パンパンに張っていた羊膜が弾け、プシャーっと羊水がしぶきをあげた。
そこからググーッと腰が熱くなり、赤子の頭がしっかり下がってきた感覚が伝わったのは9:55。

そこから産まれる10:08までに3回ほどイキんだのだけど、その3回が今までには無い痛み。
安澄、日文、文昌の顔をしっかり見ながら、獣のような声を上げて赤子の生誕に臨む。
グルっと回転する赤子の動きを感じながら頭、そして肩が出ていく(不思議なものでその一つ一つの部位を股で感じることが出来た)。
頭を出した赤子は早くもホギャ〜と産声を上げ、肩が出るとあとは安澄が主導となって赤子は誕生した。

股の間から見えた赤子。
目があった瞬間にバンザーイ!と両手をあげて迎え入れる。
今まで生きてきてこんなに純粋に万歳したくなったのは初めてのこと。
日文も文昌も泣くことなく、でもちょっと固まりながらも産まれたての赤子を凝視している。
胸の上に置かれ、胎脂と羊水で魚のような感触の赤子を抱きしめる。
安澄が嬉しそうに頭を撫でてくれて、またこの顔が見れた!と嬉しくなった。

臍の緒は安澄と日文に切ってもらう。
まだドクドクと脈をうつしっかりとした臍の緒。
赤子は首に臍の緒を一巻きさせていたようなのだけれど、普通の人の倍の長さがあったので苦しまずにすんだみたい。
安澄曰く、今までで1番弾力のある臍の緒をパチンと切られて、私と赤子は別々となった。

それから赤子は安澄と子供たちに抱かれて計測室へ。
私は鏡を股間にあてがわれながら、胎盤が出ていくのを見届ける。
この時のニョロンとした感覚はなんとも言えない気持ちよさで、大袈裟だけど女で良かった!と思える瞬間。
この胎盤を切ってもらって、私と安澄。そして何故か食べたがった日文と食べる(味で言ったら文昌の時が1番美味しかった)。



産後の経過も良いので、子供たちと安澄は帰って行った。
私も赤子を抱きながらうつらうつらしていた日付の変わった12時。
突然ジョバーっと熱い液体が流れ出て、異変に気づく。
助産師さんを呼んで見てもらうと、お腹を押すたびにジャバジャバと血液が流れる。
赤子の頭くらいの血の塊もニョロン!ニョロン!と出てきたりして(これは結構気持ちよかった)、あ!これはまずいやつだと認識。
収縮剤を入れるもなかなか治らず、急遽病院へ搬送されることになった。

本当ならば怖くて仕方ない状況なんだけれど、助産師さん達の顔を見ていると安心感しかない。
言われるままにジョッキ一杯のお茶を飲み、ハイハイしながら助産院を出て車に乗り込む。
毛布に包まれながら、寒気をこらえながら、しばしのドライブに身を委ねた。

病院に着くとストレッチャーに乗せられ手術室へ。
その頃には貧血からか脳内お花畑状態で、なんだか実感が無い。
処置をしてもらい、ようやく出血が収まると知らせを受けて駆けつけてくれた安澄が入ってきた。
その時の顔がまるで迷子になった幼子のようで、今も頭から離れない。
泣きそうな顔で手を握る安澄を見ながら、もうこんな顔は二度とさせたくないなーとぼんやり思う。
その後意識を失ったりしたものの、輸血には至らず、点滴治療でしばらく病院に入院することになった。
翌朝助産院から連れてこられた赤子と再会し、ただただ静養に努める。

そして4日後。
退院許可がおり、安澄からの提案もあって、一泊だけ助産院へ戻らせてもらうことが出来た。
助産院に戻ると、助産師さん皆んなに「おかえり〜」と涙ながらに抱き締められ、胸がいっぱいになる。

今回、まだ出来ていなかった乾杯!もすることが出来た。
助産師さん、その時一緒に入院している人たちが輪になって、ビール片手にお産をねぎらうカンパーイ!
グイッと飲んだビールが染み渡って、ようやく夢見ているようなお産から現実へと戻れた。
お産って大変で、やっぱりやっぱり楽しい。

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