2015年8月13日木曜日

誕生した日


ようやく7分間隔になり、助産院へ電話。
現状を伝えると、痛みのレベルがまたアップしたら電話してねとの指示を出される。
7分の壁を越えたら即入院出来ると思っていたので、電話を切ってから暫く放心状態。
いつになったら助産院へ行けるのか。。。

痛みが徐々に増し声を上げなくては我慢出来ないほどになるも、先ほどの電話の一件があるので出来ず。
何度も電話したら?と言われるも、また自宅待機指示が出されたら心が折れてしまうから。と、隣で心配そうに腰をさする安澄を見つめながらひたすらに痛みに耐える。

痛みの間隔も短くなり、痛みというよりも精神的に家に居るのは限界!と感じた午前四時、勇気を振り絞って助産院へ電話。
待ちに待っていた【じゃあ来ちゃおうか。】の言葉をもらい、急いで陣痛タクシーを手配する。

ものの5分で到着したタクシーに乗り込み、安澄と二人助産院へ向かう。
明け方ということもあるだろうけれど、一度も信号につかまらずに助産院へ到着した。
うっすらと明るくなり始めた空を眺めながら、晴れの日に産まれてくるんだなーとぼんやり思う。

AM4:30
通い慣れた助産院のドアを開けると、助産師のぷうちゃんが迎え入れてくれた。
矢島助産院には助産師さんが10人ほど居るので一度も会った事の無い助産師さんの可能性もあったけれど、何度も検診で診てもらっていたぷうちゃんだったことがただ嬉しかった。

一度診察をしましょうと診察室で触診。
おしるしはしっかりとした鮮血になり、子宮口は5センチ開いているという。
この調子だと今日中に産まれるねと朗らかに言われるも、まだまだかかるという事実に正直びびる。

触診後、四畳半ほどの一室へ移動。
長丁場になるので旦那さんも眠れるうちに寝ておいてくださいねということで、手を繋ぎながら二人で横たわる。
腰にあてがわれたぷうちゃんの手の温かさに安心して、いつの間にかフワフワと眠っていた。

痛みの間隔もレベルもどんどん高まっているけれど、ぷうちゃんがいるという安心感で心はどんどん解放されていく。
解放された心と比例して、声もどんどん大きくなっていく。
休んでは声をあげ、休んでは声をあげ、、、、
痛みというより、エネルギーの塊が股の間から飛び出そうとする強い力。
そのエネルギーの塊をしっかり感じながら、ぷうちゃんを信じて呼吸を整える。
いつの間にかぷうちゃんだけだった助産師さんが一人増え二人増え、気付けば四人の助産師さんが側に居てくれた。
助産院の主、床子さんに娘の藍さん。そしてれいこさん。
皆の声に励まされ、痛みへの恐怖が薄くなるとともにどんどん景色がクリアになる。
汗をこまめに拭きながら、しっかり手を握り励まし続ける安澄の顔。
状況を見ながら適切に誘導してくれるぷうちゃんの美しい凛とした顔。
いつも通りの床子さんに優しい笑顔で微笑む藍さん、真っすぐに見つめてくれるれいこさんの顔。
頼もしい皆に囲まれ、見つめられ、沢山褒めてもらいながら、自分がどんどん子供に返っていくような気持ちになった。

ぷうちゃんの介助で子宮口が遂に全開になり、しばらくして破水。
羊水は当たり前だけれどとても温かくて、内股にかかるたびにその温かさに安心する。
頭が見えて来たよ!触ってみて!と言われ手を伸ばすと、少し柔らかな頭部を覆う髪の毛に触れる。
目で見れない分、その感触があまりに鮮明で、指先を通して全貌が見えるようだった。

強い痛みの時は高い声で息みを逃し、痛みが遠のいたら力を込める。
ファーファー んんんんんっ ファーファー んんんんんっ
何度繰り返した頃だろう。
ぷうちゃんにここでググッと息んでみよう。と言われ、渾身の力を込める。
息を吐くのと同時に股の間がググっと熱くなり、間もなくホギャーという鳴き声が聞こえる。
まだ顔しか出ていないのに、力いっぱいに声をあげる赤子に皆が声を揃えて笑う。

自分で取り上げよう!と床子さんに言われ、迷い無く安澄に【取り上げて】と伝える。
しっかり頷き、両手を伸ばして赤子を取り上げる安澄。
ほどなくして私の胸に温かな温かな赤子が手渡された。
しがみつくようにピタッとくっついてくるその姿に、初めて会うのに【おかえり】と言ってしまう。

PM11:22
やっと会えた我が子。
やっと会えた二人の子供。
安澄は顔をくしゃくしゃにして笑いながら泣いていた。

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